電車の端の席に座る

バイアス

電車に乗った際、通常のロングシートは7人掛けですが、端の席に座る人が多いと思います。また、端の席が空くと、他人を押しのけてでも猛ダッシュで端の席を取りにくる人もいます。
私も空いていれば、端の席を選ぶことが多いですが、何故でしょうか?
偶に思うのは、もしロングシートの全ての席が間仕切りで仕切られていたならば、端の席には拘らないだろうな、と言うことです。

まとめ
1.電車では端の席を選ぶ人が9割
2.コロナ後でも撤去されないオフィスの間仕切り
3.コロナ後でも外されないマスク

結論
対人関係は誰にとってもストレス。皆疲れすぎている。

1.電車では端の席を選ぶ人が9割

とあるアンケート調査によると、電車の「どの席に座るか」という質問に、約9割の人が「端の席」と答えたそうです。また、ガラ空きの車両に乗り込んだときには、あちこち空いているにもかかわらず、他の乗客からできるだけ離れた隅っこの空間を見つけて座ろうとする人が多いと思います。
こうした行動には、パーソナル・スペースが関係していると言われます。パーソナル・スペースとは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことです。
個人差はあるようですが、これが有る為に電車の座席では互いに距離をとって座ろうとしますし、出来るだけ端に座ろうとします。端の席であれば、隣に他人が座ったとしても片側だけは縄張りを維持できるからです。
この現象は、電車だけに限った話ではありません。図書館の席取りや男子トイレの使われ方に至るまで、様々なシーンで見られます。

2.コロナ後でも撤去されないオフィスの間仕切り

コロナ禍が猛威を振るっていた頃、オフィスで隣の席との間に間仕切りが設置された職場も多かったのではないかと思います。
コロナ禍の脅威は去りましたが、未だに間仕切りが設置されたままの職場も多いのではないでしょうか。これもパーソナル・スペースに入って欲しくないというのが理由だと思います。可能であれば撤去したくないという空気があります。率先して撤去しようという人はいません。
欧米の映画でよく見るオフィスでのシーンを見て思うのは、日本のオフィスがチーム重視の島型なのに対して、欧米のオフィスは個人重視の半個室タイプだということです。お気に入りの写真やキャラクターグッズを沢山置いている人も見かけます。
国民性の違いもあるかも知れませんが、日本のオフィスも半個室にして欲しいと考えている人も一定数はいることでしょう。斯くいう私もその一人です。周囲からの視線も気になりますし、常に五感センサーのリソースを一定割合周囲に割かれている感覚があるので、集中したいときには島型は向いていません。

3.コロナ後でも外されないマスク

コロナ禍の脅威が去った後も、使われ続けているのがマスクです。職場ではマスクをしている方は少ないですが、電車の中では未だに着用している方が多い印象です。
オフィスよりも電車内の方が、3つの密(密閉・密集・密接)の度合いが大きいからという表面上の理由だけではない様に思います。
真の理由は、「表情を隠すことが出来る」ことにあると思います。マスクがあれば、仏頂面をしていても分かりませんし、作り笑いも不要です。表情筋を弛緩させたままでも全く不都合はなく、リラックスできます。衛生上の理由というよりは、パーソナル・スペースにおける結界としての役割の方が大きいかも知れません。
兎に角、周囲に人間がいるということは、それだけで疲れる訳です。元来、身体の戦闘力が弱く、種の存続の為に協力と連携が不可欠で、高度な社会性を獲得することで生き延びてきた人間は、増え続ける他者との複雑な関係を常時情報処理して整理する必要があります。
他者の仕草からメッセージや感情を察知し、それを踏まえた最適な反応を、生きている限り繰り返さないといけません。
各人毎にパーソナル・スペースの大きさは千差万別ですし、相手の立場を斟酌すればするほど、情報処理は複雑化します。
休息する為には、他者をシャットアウトし、目を瞑って耳を塞ぎ、五感センサーを切るしかありません。対人関係は誰にとってもストレスです。センサーの感度が良すぎる人は余計に疲れます。

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