哲学

純粋持続と自由(ベルクソン)

若い頃は時間が無限にあるように感じて、随分と怠惰に過ごしていたような気もします。半世紀以上も生きてくると、ふとした時に時間とは一体何なのかについて考える場面が増えてきたように思います。病気や老いや死というものをリアルに感じるようになったから...
哲学

四十八茶百鼠と差異

「四十八茶百鼠」とは、江戸時代に沢山の茶色や鼠色が存在したことを表す言葉です。四十八や百というのは種類が多いことを形容する表現であり、実際には更に多くの種類の茶色や鼠色が存在したと云われています。一般的には茶色も鼠色も明度が低く、彩度も低い...
幸福

世界幸福度とイースタリンのパラドックス

国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)から発表された2024年の世界の幸福度ランキングによると、全体で143の国・地域中、日本は第51位でした。自分の国ではありますが、本当に日本は不思議な国です。世界屈指の経済大国であり、...
バイアス

「ヨナ・コンプレックス」と幸福感の射程

人間の欲求は、生理的欲求・安全の欲求・社会的欲求・承認欲求・自己実現の欲求の5階層に分けられるという、有名な欲求5段階説を唱えた心理学者のマズローですが、「ヨナ・コンプレックス」という興味深い概念も提唱しています。「ヨナ・コンプレックス」と...
バイアス

フレーミング効果と幸福感

仮に病気や怪我の為に手術を受けなければならないとします。その際に医師から「生存率80%」と言われるのと、「死亡率20%」と言われるのでは患者の受け止め方は相当異なるでしょうし、手術を受けるかどうかの判断にも大きく影響すると思います。然しなが...
哲学

人間の終焉(ミシェル・フーコー)

フランスの哲学者ミシェル・フーコーは、「人間は波打ち際の砂の表情のように消滅するであろう」という有名な言葉を残しています。勿論、人類滅亡のことを云っているのではありません。フーコーは、「人間」は普遍的な存在ではなく、特定の歴史的状況の中で形...
哲学

陽明門「魔除けの逆柱」と徒然草

豪華絢爛な日光東照宮の陽明門には12本の柱があります。全ての柱にグリ紋(倶利紋)という紋様が施されていますが、北側の一本だけがグリ紋が上下逆に彫られています。「満つれば欠ける」の諺により、不完全な柱を敢えて加えて魔除けにしたのではと言われて...
哲学

アウグスティヌスとパスカルの時間論

一般的に、時間は直線的に流れると考えられています。過去・現在・未来が数直線上に配置されているイメージです。キリスト教の教義では、時間は神の創造から始まり、終末へと向かう一方向の流れとして捉えられています。現在社会では、こうした直線的な時間の...
哲学

「夜と霧」とテヘランの死神

「夜と霧」は、神経科医で心理学者のヴィクトール・フランクルによって書かれた著作です。ユダヤ人であるフランクル自身が、アウシュヴィッツを含むナチスの強制収容所での経験を基に著した本であり、極限状態での人間の精神と生きる意味について深く掘り下げ...
バイアス

アロンソンの不貞の法則

「アロンソンの不貞の法則」とは、アメリカの社会心理学者エリオット・アロンソンが考案した法則で、親しい人に褒められるよりも、新しく出会った人や、親しくない人から褒められる方が人の心に響きやすいという法則のことです。親兄弟の様な親しい人から褒め...