寝そべり族と三放世代

孤独

世界中の若者達が苦悩しています。
中国では経済の停滞に伴い、若者は就職や労働を通じた将来の見通しが立ちにくくなっており、若者の間に「寝そべり族」、または「躺平主義」(タンビン主義)という社会現象が起きています。また、韓国では「三放世代」と呼ばれる若者たちが、「恋愛」「結婚」「出産」をあきらめる傾向が顕著になっています。
これだけではありません。同様の現象が世界中で起きています。

まとめ
1.中国の若者達に広がる「寝そべり族」
2.韓国の若者達に広がる「三放世代」
3.深まる世界の若者達の苦悩

結論
世界中で同じことが起きている。このままで良いわけがない。

1.中国の若者達に広がる「寝そべり族」

中国の若者達の間で、過酷な競争社会を生き抜くことを諦め、最低限の生活を送ることを志す「寝そべり族」が流行しています。格差が拡大し、厳しい受験戦争に打ち勝ったとしても、就職や都会での生活に苦戦する人が少なくないようです。
日本以上に過酷とも言われる受験戦争に勝つため、全ての時間を勉強に費やし、大学を卒業して就職しても、996(朝9時から夜9時まで週6日間勤務)や007(午前0時から深夜0時まで週7日間勤務)といわれる過酷な労働や高圧的な職場環境に晒され、いくら頑張っても都会で家を買うことも叶わないそうです。
「寝そべり族」とは、簡潔に言えば「六不主義」をとる生き方をする人々です。つまり「家を買わない」「車を買わない」「結婚しない」「子どもを作らない」「消費しない」「頑張らない」ということです。誰にも迷惑をかけず、最低限の生活をするような生き方です。
最低限の生活を維持することで、資本家の金儲けマシンとなって搾取される奴隷となることを拒否するといったポリシーです。

2.韓国の若者達に広がる「三放世代」

中国だけではありません。韓国にも「三放世代」という言葉があります。「三放世代」とは、「恋愛」「結婚」「出産」の3つを放棄している若者世代を指す造語です。
ある調査によると、貯蓄がない、できるかぎりの貯蓄をしても足りない、実家が裕福ではない、就職が遅れた、収入が低い、多額の借金を抱えている等が三放主義をとる理由になっているようです。
「恋愛」「結婚」「出産」の3つを放棄する「三放主義」から派生した、「就職」「マイホーム」も含めた5つを放棄する「五放世代」、さらに「人間関係」「夢」を含めた7つを放棄する「七放世代」、「健康」「外見」を含めた9つを放棄する「九放世代」、人生迄含めた「十放世代」という言葉まであります。「N放世代」という言葉もあります。全てを諦めさせられた世代という意味です。あまりにも辛すぎます。格差社会ここに極まれりといった感があります。
韓国の合計特殊出生率は0.72(2022年)であり、日本の1.26(2022年)やOECD平均1.58(2021年)を大きく下回る数値です。若者の絶望は数字にも表れています。

3.深まる世界の若者達の苦悩

2011年にアメリカで「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)運動が起きました。運動の参加者たちは、「私たちは99%」(We are the 99%)というスローガンを掲げ、アメリカ社会における富の集中と政治的権力の不均衡に抗議しました。
SNSを通じて迅速に情報が拡散され、アメリカ国内外の多くの都市で同様の「占拠」運動が展開されました。
ウォール街に象徴されるアメリカの上位1%の富裕層が所有する資産は、増加の一途を辿っており、格差は拡大する一方です。運動が起きてからかなりの時間が経過していますが、事態解消の見込はありません。
世界で最も裕福な26人が、世界人口のうち所得の低い半数に当たる38億人の総資産と同額の富を握っているとの報告書を、国際NGO「オックスファム」が2019年に発表しています。天文学的な格差です。
格差拡大は、世界中でポピュリズムが勢いを増していることと無縁ではありません。この状態がサステナブルな訳がありません。いつか破綻すると思いますが、殆どの国が解を示せないままです。世界中で同じことが起きており、このままで良いわけがないですが、グローバル化が進んだ結果、一国だけでは対処のしようがありません。
若者が夢もみられない世界に、未来がある訳ありません。若者全てが反出生主義者になってしまったら、人類には緩やかな滅亡しかありません。

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