恐竜が巨大化した意外な理由

歴史

たまに博物館を訪れますが、恐竜の全身骨格標本の展示を見る度にその巨大さに圧倒されます。史上最大級の恐竜スーパーサウルスの体長は30メートル超にも及びます。
何故、こんなに巨大なのでしょうか。中生代・三畳紀後期に出現した恐竜も、当初は物陰に隠れて暮らす小動物に過ぎませんでしたが、最も繁栄した中生代・ジュラ紀までに凄まじい巨大化を遂げています。
巨大化した理由については諸説あるようですが、時代によって変化する酸素濃度も関係しているようです。

まとめ
1.恐竜が巨大な理由
2.恐竜が絶滅した理由
3.小型化に失敗した恐竜

結論
盛者必衰の理は不変。人類の弱点は感情。

1.恐竜が巨大な理由

陸上四肢動物は肺呼吸を行います。哺乳類では肺呼吸の効率化の為に横隔膜を持ち、腹式呼吸を発達させました。横隔膜による肺の拡大・縮小により吸気・排気を行います。一方で、恐竜の子孫と言われる鳥類は、哺乳類よりも遥かに呼吸効率の良い気嚢による呼吸システムを持っています。
哺乳類の肺は息を吸って空気を取り込み、血液に酸素を取り込んで吐きます。吸気と呼気は同じ道を通り、一部の古い空気が肺に残りますので、ガス交換は吸気時にのみ最大化されます。
一方、鳥類の肺の前後には気嚢と言われる器官があります。息を吸うときは、気嚢に空気を取り込みながら、繋がっている肺にも空気を送ります。息を吐くときにも、気嚢に蓄えた空気を肺に送ります。いつも肺を流れる空気は一方通行なので、吸った空気と吐く空気が混ざりません。吸うときも吐くときも肺は酸素を得ることが出来るので、呼吸効率が高い訳です。
哺乳類である人間がヒマラヤ登山をするのは極めて大変なことですが、鳥類ははるか1万m上空の空気密度の低い空間でも呼吸が可能であり、ヒマラヤ山脈を越えて渡りをする鳥の存在も知られています。
鳥類の祖先たる恐竜にもほぼ同様の気嚢が存在したことが研究によって示唆されています。地球は古生代・ペルム紀と中生代・三畳紀の境界で低酸素状態に陥りましたが、そこから中生代・白亜紀後期にかけて大気中の酸素濃度は上昇していきました。中生代・三畳紀に出現した恐竜は、気嚢システムを使うことで酸素を効率よく取り入れて、低酸素時代を生き延び、酸素が豊富になってからは余ったエネルギーを巨大化へ利用したと考えられています。
卵は小さくても成長のスピードが物凄く早いので、産卵にも栄養分を割くこともなく体の成長に使うことができました。

2.恐竜が絶滅した理由

恐竜が絶滅した理由については、複数の説が提唱されていますが、最も有力とされているのは隕石衝突説です。約6600万年前に現在のメキシコのユカタン半島に巨大な隕石が衝突したことにより、大量絶滅が起きたと考えられています。
この衝突は、世界的な気候変動を招き、巨大な津波や火山活動の活発化、長期にわたる冷却期間をもたらし、恐竜を含む多くの生物の絶滅に繋がったとされています。
この隕石衝突により、大気中に巨大な塵や灰が広がり、太陽光が遮られて地球は「核の冬」状態に陥りました。これにより、光合成ができなくなり、食物連鎖の基盤が崩壊したと考えられています。
こうした厳しい環境下、恐竜が巨大であったことが仇になりました。一方で大部分の哺乳類は当時小さく、食料の必要量が少なかった為、食物連鎖が崩壊した環境でも生き延びることができました。また、小さい体は地下や隠れた場所に潜むことができ、過酷な環境から身を守ることが可能でした。また、哺乳類は雑食性の種が多く、植物だけでなく昆虫や小動物など様々な食料を利用することができました。これが、食料源が限られた状況での適応を可能にしたと考えられています。

3.小型化に失敗した恐竜

逆に言えば、恐竜は小型化に失敗したとも考えられます。哺乳類などが、先に小型動物として環境に適応してしまった為、競合上恐竜は小型化する道を絶たれ、哺乳類に行き場を塞がれた恐竜は、活路を巨大化に求めざるを得なかったのかも知れません。
盛者必衰の理は不変です。現在、人類は繁栄を謳歌していますが、死角が全く無いとは言い切れません。その知性で数多の危機を乗り越えてきた実績はありますが、自らが生み出した資本主義の暴走を抑え込み、戦争や環境問題を解決して生き延びられるのかは現時点では不明です。
人類が生き延びる為に社会性を高める過程で育んできた感情が弱点になる可能性もあります。人類と同レベルの知性を備えつつ感情が無い敵が現れたら多分勝てません。躊躇なく合理的な戦略を取る相手には逡巡が無いからです。AIやターミネーターに畏怖を感じるのは、感情が無い相手だからです。
巨大化が恐竜を滅ぼした様に、感情が人類を滅ぼすのかも知れません。強みが弱みに転じることはよくあります。

タイトルとURLをコピーしました