社会学

哲学

美徳とは偽装された悪徳(ラ・ロシュフコー)

フランソワ・ド・ラ・ロシュフローは17世紀フランスのモラリストです。有名な「箴言集」を執筆しましたが、人間の自己愛や偽善を鋭く描き出しており、鋭敏な洞察力と辛辣な皮肉に満ちていて非常に面白いです。ラ・ロシュフコーは、名門貴族の生まれであり、...
心理学

ダブルバインドで疲労困憊

相反するメッセージを受けて非常に困惑する場合が多々あります。相反する2つのメッセージに縛られ、板挟みになっている心の状態のことをダブルバインド(二 重拘束)と言います。アメリカの人類学者で精神医学者のグレゴリー・ベイトソンが提唱した 概念で...
哲学

河童と反出生主義

芥川龍之介の作品に「河童」があります。主人公が山登りの最中に河童を見つけ、追いかけるうちに河童の国に迷い込むという内容です。人間世界とは全く異なる価値観が描写されていますが、そのなかに河童の出産についてのシーンが登場します。とある河童が妻の...
哲学

阿部一族と恥

文豪の森鴎外が著した「阿部一族」という短編小説があります。江戸時代初期の話です。肥後藩主細川忠利の病状が悪化し、側近たちは次々と殉死を願い出ます。老臣の阿部弥一右衛門もまた殉死の許可を乞いますが、厳格な彼を昔からけむたがっていた忠利は「生き...
心理学

メリトクラシー

「メリトクラシー」は、「メリット」 (merit: 実績、能力)と「クラシー」 (cracy: 支配、統治) という二つの英語を組み合わせた造語で、簡単に言えば「能力主義」や「実績主義」のことです。前近代社会は身分制社会でしたので、社会的地...
哲学

ダンバー数と官僚組織

人間が安定的な社会関係を維持できる人数の認知的な上限は凡そ150人と言われてい ます。1990年代に、イギリスの人類学者ロビン・ダンバーによって初めて提案されましたので、 ダンバー数と言われます。安定的な人付き合いをする為には、相手の性格、...
アニメ

フリーレン現象

不老長寿の存在との共生をテーマとした作品を三つほど視聴しました。具体的には、「葬送のフリーレン」、「さよならの朝に約束の花をかざろう」、「江戸前エルフ」です。「葬送のフリーレン」では、主人公のフリーレンは、1000年は軽く生きる長命種のエル...
アニメ

経験機械

アメリカの哲学者ロバート・ノージックが提唱した思考実験に「経験機械」があります。人間が最高の快楽を得られる「経験機械」が存在すると仮定します。この機械に接続されると、人間は自分が望むどんな体験もできます。しかも現実の経験と区別がつかない程に...
哲学

群衆心理と自動人形

あのアドルフ・ヒトラーが愛読していたとされる本があります。1895年に出版されたギュスターヴ・ル・ボンの「群衆心理」です。結果的にル・ボンの正鵠を射た警告がファシズムに悪用された恰好となってしまいました。群衆心理が為政者や新聞・雑誌等のメデ...
哲学

鯨と豚の境界線

英国の小説家サミュエル・バトラーは「食する為に養っている動物と仲良くできる動物は人間だけだ」という言葉を残しました。人間は家畜である牛・馬・豚・羊・鶏と仲良くもしますが、食べることもします。現在では社会的分業が進んだことで、殆どの人間には家...