文学

哲学

阿部一族と恥

文豪の森鴎外が著した「阿部一族」という短編小説があります。江戸時代初期の話です。肥後藩主細川忠利の病状が悪化し、側近たちは次々と殉死を願い出ます。老臣の阿部弥一右衛門もまた殉死の許可を乞いますが、厳格な彼を昔からけむたがっていた忠利は「生き...
文学

蒟蒻問答(こんにゃく問答)

「蒟蒻問答」という古典落語があります。上州のとある古寺では和尚が亡くなり後を継ぐ者がいませんでした。心配した村の世話人、蒟蒻屋の六兵衛は、道楽者の八五郎に和尚にでもなってみないかと持ち掛けます。八五郎は二つ返事で承知します。ところが、ある日...
哲学

菊と刀(ルース・ベネディクト)

「菊と刀」は、アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトが日本文化について著した本です。彼女は、アメリカが第二次世界大戦に参戦するにあたって戦争情報局に招集され、日本班チーフとなりましたが、その時に纏めた報告書を基に本書を執筆しました。欧米...
哲学

差別と無知のヴェール

世界は差別で溢れています。歴史を学べば分かるように、太古の時代からずっとそうです。差別が無益であり、倫理にもとる行為であると皆理解している筈ですが、無くなる気配はありません。ドイツの鉄血宰相ビスマルクは、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ...
哲学

フランケンシュタインとロボット三原則

少年漫画「怪物くん」には、主人公である怪物くんのお供としてドラキュラ、オオカミ男、フランケンが登場します。漫画のフランケンは怪物そのものですが、「フランケンシュタイン」の原作では異なります。フランケンシュタインはスイスの名家出身の科学者であ...
哲学

華氏451度

「華氏451度」は、アメリカの作家レイ・ブラッドベリによって書かれたディストピア小説です。華氏とは温度のことで、華氏451度は摂氏233度です。この温度になると紙が自然発火するそうです。物語の舞台は、情報が全てテレビやラジオによる画像や音声...
哲学

地獄とは他人のことだ

フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルは作家でもあり、彼の戯曲「閉鎖空間(NoExit)」のなかに「地獄とは他人のことだ」という有名な台詞があります。地獄というとダンテの神曲に描かれている9圏の地獄や仏教の八大地獄のような、サディスティッ...
哲学

詩人・萩原朔太郎の絶望と孤独

詩人・萩原朔太郎は、「日本近代詩の父」と称されますが、生涯にわたって強い絶望と孤独に悩まされ続けた詩人でもありました。「僕の孤独癖について」という短いエッセイもありますが、痛々しい程の孤独が吐露されています。天才故の孤独といえるかもしれませ...
哲学

夏目漱石「私の個人主義」

明治の文豪である夏目漱石の「私の個人主義」という作品があります。学習院での講演録です。短い作品ですので短時間で読了可能です。暗中模索しつつ悩みながら個人主義に辿り着いた漱石の切なる思いが伝わってくる良い作品でした。 まとめ1.他人本位ではな...