哲学

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人間の終焉(ミシェル・フーコー)

フランスの哲学者ミシェル・フーコーは、「人間は波打ち際の砂の表情のように消滅するであろう」という有名な言葉を残しています。勿論、人類滅亡のことを云っているのではありません。フーコーは、「人間」は普遍的な存在ではなく、特定の歴史的状況の中で形...
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陽明門「魔除けの逆柱」と徒然草

豪華絢爛な日光東照宮の陽明門には12本の柱があります。全ての柱にグリ紋(倶利紋)という紋様が施されていますが、北側の一本だけがグリ紋が上下逆に彫られています。「満つれば欠ける」の諺により、不完全な柱を敢えて加えて魔除けにしたのではと言われて...
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アウグスティヌスとパスカルの時間論

一般的に、時間は直線的に流れると考えられています。過去・現在・未来が数直線上に配置されているイメージです。キリスト教の教義では、時間は神の創造から始まり、終末へと向かう一方向の流れとして捉えられています。現在社会では、こうした直線的な時間の...
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「夜と霧」とテヘランの死神

「夜と霧」は、神経科医で心理学者のヴィクトール・フランクルによって書かれた著作です。ユダヤ人であるフランクル自身が、アウシュヴィッツを含むナチスの強制収容所での経験を基に著した本であり、極限状態での人間の精神と生きる意味について深く掘り下げ...
哲学

「無印良品」と「マトリックス」とボードリヤール

「無印良品」と映画「マトリックス」には実は共通点があります。どちらもフランスの哲学者・思想家ジャン・ボードリヤールの思想に触発されて誕生しています。「無印良品」は、セゾングループ代表だった堤清二氏が、ボードリヤールの主著「消費社会の神話と構...
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「カントの鳩」と人間

偶々、太宰治の「鬱屈禍」という作品を読んでいたら、「カントの鳩」という逸話に触れられていました。「カントの鳩」は、哲学の巨人カントの著作「純粋理性批判」における思考実験から来ています。この思考実験では、鳩が空中を飛ぶ際に空気の抵抗を感じ、「...
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枢軸時代とゴーギャン

画家ゴーギャンの代表作の一つに「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」と題する絵があります。愛娘を亡くし、家から立ち退きを余儀なくされ、借金を抱えた上に健康状態も悪化するなど、ゴーギャンが失意のどん底にあった時に描いた...
哲学

非風非幡

禅の公案の一つに「非風非幡」というものがあります。「風に非ず、幡(はた)に非ず」と読むようです。禅宗六祖・芸能禅師が、中国の広州を旅していたころ、とあるお寺で説法が行われていました。当時は、説法の日には旗を立てる習慣があり、その風になびいて...
哲学

人間と動物の間(バタイユ)

人間には他の動物には無い幾つかの特徴があります。キーワードは「労働」「死」「性活動」です。例えば以下のようなものがあります。・労働を行う。・死者を埋葬する。・性活動に恥じらいを感じ、性器を隠す為のパンツを穿く。毎日会社に通勤する動物はいませ...
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「スタンド・アローン・コンプレックス」と「マルチチュード」

日本の傑作アニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」のなかで、「笑い男事件」という事件が出てきます。オリジナルの笑い男が不在のまま、模倣者の群れが一人歩きを始める現象が起きます。主人公の草薙素子は、そうした一連の現象に対し...