美貌の正体

進化論

「美しい」「かっこいい」「かわいい」と言われれば誰しも嬉しいですよね。
でも目の前に美人がいたとして、どうしてこの人を美人だと思うのかは正直分かりません。
それぞれ好みはあると思いますが、美人だと言われる人は、大抵他の人からも美人だと言われますので、美の基準には一定のレンジがあるのでしょう。
美貌とは一体何なのでしょうか。その正体について調べてみました。

まとめ
1.美貌は進化における性淘汰の結果
2.美人とは平均的であること(平均美人說)
3.時代によって変化する美貌
結論
・こだわっても仕方がない、仮想世界では意味がない。

1.美貌は進化における性淘汰の結果

一旦、人間から離れてクジャクについて考えてみましょう。
クジャクのオスの飾り羽は非常に派手ですが、どうしてあんなに派手なのでしょうか。
進化論によれば、メスから選ばれる為に飾り羽を進化させてきたとされています。飾り羽は目立つので、猛獣などの捕食者に狙われやすいというハンディキャップがありますが、「大きなハンディキャップがあっても元気なオス」は「ハンディキャップが無い元気なオス」よりも個体の能力が高いという理屈が成り立ちます。(ハンディキャップ理論)
その結果、立派な飾り羽を持つオスがメスから選択されることで、適者生存のセオリーに従って進化していったとのこと。
クジャクの世界では、立派な飾り羽を「かっこいい」「セクシー」「美しい」と感じる個体が生き残った訳です。
人間にとっての美貌の基準も、概ね同様でしょう。生存と繁殖の為に、特定の形質を美貌と感じるように進化したということです。あらゆる生物にとって完璧である絶対的な美は存在しません。

2.美人とは平均的であること(平均美人説)

「平均美人説」という面白い説があります。
とある研究によると無作為に抽出した顔写真の合成写真を被験者に示すと、その写真が魅力的であると判断されることが多いそうです。
これは、左右対称で平均的な特徴を持つ顔が美しく見えるということを示しています。
美人像の変遷は、そのコミュニティの構成員の変化を背景としています。鼻が高い人が多くなれば、鼻が高いことが美人の要素となります。
美しさの基準がコミュニティの平均的な顔立ちや特徴に強く影響されるということです。
どうしてそうなるのかというと、平均的であるということが、コミュニティのなかで失敗のない生殖を行える可能性が高く、繁殖実績が多かったからです。顔のパーツが全て偏差値50なら、美人になるということです。
美貌とは所詮その程度のことです。あたかも人間の価値そのものであるかのような扱いはしないほうがいいですね。
VR(ヴァーチャル・リアリティ)が発展し、日常生活をアバターで過ごすような時代になれば、美貌は自由自在ですし、リアルの美貌は無意味になります。
医療の発展で、人間が死を克服したら、生存と繁殖という進化圧自体が変化し、美の概念すら変わるかもしれません。
異性にアピールする必要も無いですし、性欲や物欲をリアルな世界で満たすことはコスパもタイパも悪いと考える世代が出てくるかもしれないですね。

3.時代によって変化する美貌

美貌の基準は時代や地域によって変化しています。
例えば、平安時代の美人の基準は、「源氏物語絵巻」に見られるように、艶やかで長い髪、細く涼しげな目、色白でふっくらした頬を持つ女性でした。これは唐の影響を受けた美的センスであったといわれています。
また、江戸時代の美人は喜多川歌麿の錦絵「寛政三美人」に代表されるように、細面の女性が美人とされていました。平均美人説に従えば、時代の変遷によって平均的な顔が変われば、当然に美人の基準も変わることになります。
近年、火星への移住について真剣に検討がされているようですが、火星の重力は地球の38%といわれており、地球と環境が異なりますので移住すれば人体への影響も当然あります。
環境へ適応する為、人類は遺伝子操作に踏み切るかもしれません。
地球と火星の顔の平均値は乖離していくでしょうし、それにつれて美貌の基準も乖離していく可能性があります。
地球と火星で芸術が共有できない時代がくるかもしれないですね。

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