生物界最強のクマムシ

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クマムシは、4対8本のずんぐりとした脚でゆっくり歩く姿から緩歩動物と呼ばれ、また体形がクマに似ていることからこの名前がついています。体長は1ミリメートル以下で、主に陸上の湿ったコケ類や森林の落葉土中に生息しています。
この小さな生物は、その驚異的な生存戦略と耐久力から生物界最強と言われることがあります。乾燥、低温、高温、高放射線、高圧、真空など極限状態に耐える能力を持っているからです。人間は万物の霊長を自認していますが、この生物は別の意味で凄いです。

まとめ
1.クマムシこそ生物界最強である
2.クマムシはさまざまな生物のDNAをミックスして進化
3.実は光合成をする動物もいる

結論
クマムシと光合成の能力があれば人類は無敵になる。

1.クマムシこそ生物界最強である

クマムシの驚異的な生存能力を列挙すると概ね以下の通りになります。
乾眠:クマムシは水分がない乾燥状態に遭遇すると、体内の水分をほぼ完全に排出し、体を縮めて乾眠と呼ばれる休眠状態に入ります。この状態では、生命活動をほぼ停止させ、何年も生存することができます。乾眠状態のクマムシが30年半後に活動を再開した例も確認されています。
極限環境への耐性:クマムシは極低温、極高温、高放射線、高圧、真空など、驚異的なストレス環境に耐える能力を持っています。マイナス273℃から100℃の温度、真空から75,000気圧までの圧力、数千グレイの放射線にも耐え、実際の宇宙空間に10日間曝露した後も生存が確認されています。勿論宇宙服無しです。
DNA修復機構:クマムシは、DNA損傷を修復する能力を持っています。これにより、高放射線環境でも生存することが可能です。
生物界最強と言われるのも頷けます。クマムシに比べたら人間のなんと脆弱なことか。

2.クマムシはさまざまな生物のDNAをミックスして進化

クマムシは確かに凄いですが、これだけハイスペックな能力の獲得は進化論で説明がつくのでしょうか。適者生存の原理を超越しているような気もします。
とある研究によれば、クマムシのゲノム配列の解析をしたところ、全体の17.5%にも相当する大量の外来DNAが含まれていたそうです。クマムシは遺伝子の「水平伝播」によって外来DNAを獲得してきたようです。通常は親から子に垂直方向でDNAが受け継がれますが、「水平伝播」は異なる生物の遺伝物質を直接取り込む現象です。
「水平伝播」が起きたのは、乾眠(乾燥した環境では自身も水分も乾燥させて休眠状態になり、水分を得ると活動を再開する能力)が関係しているとされています。
細胞が水分を失うと、DNAが断片化します。細胞が水分を取り戻すと、細胞膜は一時的に物質を通しやすい状態になります。タンパク質や外来DNAの断片といった大きな分子も通過できるようになり、その後、断片化したDNAが修復されます。損傷したゲノムを修復する際、外来DNAを取り込むことで「水平伝播」が起こります。
過酷な環境を生き抜くクマムシの能力の一部は、強化された外来DNAによって得たものかもしれません。
通常の適者生存では考えられない進化も起こり得ます。自然界でゲノム編集が起こっているようなものです。

3.実は光合成をする動物もいる

植物は光合成をします。一般的に動物は光合成をしません。しかしながら、巻き貝の仲間であるウミウシ類の一部の種は、餌として食べた藻類から、葉緑体を自分の細胞内に取り込み、数ヶ月に渡って葉緑体の光合成能力を維持しつつ、そこから得た栄養分で生きることができます。また、サンゴはズーキサンテラと呼ばれる藻類と共生しています。この藻類はサンゴの体内で光合成を行い、生産された有機物をサンゴに提供します。一方、サンゴは藻類に生存に必要な窒素、リンなどを提供しています。
「シドニアの騎士」というアニメがあります。対話不能の宇宙生命体に地球を破壊され、僅かに生き延びた人類が、小惑星ほどもある宇宙船を建造して太陽系を脱出し、宇宙生命体と戦う物語です。そのなかで、人類は遺伝子改造により光合成が可能になっています。大量の食料を必要とせず、食事は週1回程度で十分という設定です。また、男性でも女性でもない中性やクローン人間も存在しています。
面白い設定だと思います。人類が宇宙に進出した際、クマムシの卓越した能力と光合成の能力があれば無敵になるかもしれません。
人口爆発で人類が地球のリソースを使い果たす蓋然性が高くなりつつありますが、人類が宇宙に進出するより前に、食糧問題解決のソリューションとして光合成を可能とする遺伝子操作に踏み切るかもしれません。

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