巨大トンボ・メガネウラと人類

歴史

昆虫のトンボが、鳥のカモメ位の大きさであったなら、さぞかし驚愕するだろうと思います。約3億年前の石炭紀には、肉食の巨大トンボが我がもの顔で空を飛び回っていました。その名をメガネウラと云います。「巨大な翅脈を持つもの」という意味だそうです。全長65cmの巨体で羽ばたく為に気管ではなく肺を持っていました。
この時代には他にも巨大な昆虫がいたようです。

まとめ
1.酸素濃度と生物巨大化
2.二酸化炭素とスノーボールアース
3.実は現在も氷河時代である

結論
人類はいつか自然淘汰に依らない進化に手を出す。

1.酸素濃度と生物巨大化

3億5900万年前から2億9900万年前まで続いた石炭紀には、巨大トンボや巨大ゴキプリが生息していたことが化石から明らかになっています。
この時代、広大な低湿地にシダ植物群が大繁殖したことで、大気中の酸素濃度が、現在の1.5倍近い30%ほどに達していたと云われています。
現在の酸素濃度21%と比べると、呼吸により多くのエネルギーが得られた為、生物が巨大化しました。現在の実験でもハエを23%の酸素濃度で飼育したところ、わずか5世代で体が14%ほど大きくなったそうです。2%の差でもこれだけ巨大化するとは驚きです。
現在の様に、枯れた植物を微生物が酸素を使って分解すれば、植物の成長と分解が同時並行で起きるので酸素濃度は大きく変わらない筈です。然しながら、この時代には、まだ植物が作るリグニンなどを分解できる菌類が存在せず、倒れた植物の多くが分解されずに湿地にそのまま埋没し、酸素が消費されなかった為酸素濃度が上昇しました。
埋没した植物は、やがて石炭となり人類がエネルギーとして活用することになります。

2.二酸化炭素とスノーボールアース

現在では二酸化炭素等の温室効果ガス排出に伴う地球温暖化が大きな問題になっていますが、地球の歴史上、少なくとも3回、地球全てが凍り付いたことがあると云われています。所謂スノーボールアース(全球凍結)です。
原因は温室効果ガスの急激な減少です。温室効果が全く無い場合、太陽からの距離だけを考慮すると地球の平均気温は-18℃になるそうです。温室効果ガスが減少すると地球の温度はこの-18℃に向かって下がっていくことになります。
地球では約27億年前、大規模な火山活動で大陸が急激に成長し、大量に供給された金属イオンによって二酸化炭素が炭酸塩鉱物として固定されました。更に約24〜22億年前には、シアノバクテリアが光合成を行い、生じた酸素がメタンと反応し、メタンが消失していきました。
メタンも温室効果ガスである為に寒冷化が進行し氷床が発達します。白い氷床は太陽光を反射する為、地球は一層寒冷化して赤道付近まで凍り付きスノーボールアースとなりました。
凍てついた世界から復活できたのは、火山活動によって供給された二酸化炭素のお陰だと云われています。

3.実は現在も氷河時代である

生物は太古の時代から酸素や二酸化炭素の濃度、それに伴う温暖化や寒冷化に翻弄されてきました。
地球史上、何度か氷河時代が到来しましたが、実は現在も氷河時代です。氷河時代にも寒冷な氷期と比較的温暖な間氷期があります。地球は現在、間氷期にあたり、最後の氷期(最終氷期)は約1万年前に終わりました。現在の間氷期も1万年を超えたので、そろそろ氷期に突入するかも知れません。
そもそもですが、いずれ氷河時代が終われば気温はかなり上昇する筈です。
現在の氷河時代である第四紀氷河時代は、約258万年前から始まりました。ヒト属(ホモ属)はおよそ200万年前にアフリカでアウストラロピテクス属から分化し、現生人類であるホモ・サピエンスは40万年~25万年前に現れたとされていますので、人類は氷河時代しか経験したことが無いことになります。
地球温暖化は人類にとって大問題であり、パリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ことが目的となっていますが、地球史上でみると極めて狭い温度のレンジの中で大騒ぎしている訳です。
恐竜の最盛期であるジュラ紀と白亜紀の気温は今より10度以上も高く、北極圏でも15度くらいであったとされています。二酸化炭素の濃度は2,000ppmと高く、現在の400ppmと比べて5倍でした。
いつか人類の努力では制御出来ないレベルの気温の上昇が起こり、今の身体機能では生存できなくなる筈です。氷河時代に最適化すべく進化したからです。
昆虫と異なり進化スピードの遅い人類は、いつか遺伝子操作等の自然淘汰に依らない進化に手を出すかも知れません。生命倫理より生存が優先されるからです。

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